中小受託事業者保護(取適法対応)

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取適法違反を予防することの大切さ

物価高、人手不足、原材料費・物流費の上昇、取引条件の見直しなど、事業環境が大きく変化する中、中小受託事業者にとって、適正な取引条件を確保することの重要性は一層高まっています。

委託事業者による不当な買いたたき、製造委託等代金の減額、支払遅延、手形払いその他支払期日までに代金相当額の金銭化が困難な支払方法の利用等が行われた場合には、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(以下「中小受託取引適正化法」または「取適法」といいます。)に基づき、未払代金の回収、取引条件の是正、再発防止を求めることが考えられます。

一方、中小受託事業者に製造委託等を行う委託事業者にとって、取適法違反があった場合、公正取引委員会・中小企業庁・所管大臣による報告徴求、立入検査、指導・助言、勧告等の対象となり、取引上の信用や社会的評価を大きく損なうおそれがあります。

委託事業者にとっても、取適法違反を未然に防ぐ体制整備が重要です。取引開始時の明示事項、支払期日、支払方法、価格協議、費用変動時の協議対応、記録保存などについて、平時から確認しておく必要があります。

取適法は、旧下請代金支払遅延等防止法を改正し、令和8年1月1日から施行された法律です。旧法時代の「親事業者」「下請事業者」「下請代金」といった用語は、現行法では主に「委託事業者」「中小受託事業者」「製造委託等代金」と整理されています。

委託事業者との取引条件、代金減額、支払遅延、価格交渉、返品・やり直し、報復措置等でお悩みの中小受託事業者の方、または取適法対応の社内体制を整備したい事業者の方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

取適法改正で特に確認すべきポイント

  • 法律名・略称が、下請代金支払遅延等防止法から中小受託取引適正化法(取適法)へ改められています。
  • 当事者の呼称は、旧法上の親事業者・下請事業者から、委託事業者・中小受託事業者へ整理されています。
  • 対象取引には、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託に加え、特定運送委託が含まれます。
  • 資本金基準に加え、常時使用する従業員数による適用基準も設けられています。
  • 手形の交付や、支払期日までに代金相当額の金銭化が困難な支払方法の利用は、支払遅延に含まれ得ます。
  • 費用変動等が生じた場合に、中小受託事業者から代金協議を求められたにもかかわらず、協議に応じない、必要な説明・情報提供をしないまま一方的に代金額を決定する行為も問題となります。

取適法によって委託事業者が禁止される行為

① 受領拒否

中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注した給付の受領を拒むことです。発注の取消しや納期延期などにより、実質的に給付を受け取らない場合も問題となります。

② 製造委託等代金の減額

中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた製造委託等代金の額を減ずることです。協賛金、値引き、相殺、原材料価格の下落等の名目を問わず、実質的に代金を減額する行為は問題となります。

③ 製造委託等代金の支払遅延

中小受託事業者の給付を受領した日から起算して60日以内、かつ、できる限り短い期間内に定めた支払期日までに、製造委託等代金を支払わないことです。現行法では、手形の交付や、支払期日までに代金相当額の金銭化が困難な支払方法の利用も、支払遅延に含まれ得ます。

④ 不当返品

中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付を受領した後、その給付に係る物を引き取らせることです。返品・引取りの可否は、契約内容、検査方法、瑕疵の有無、時期等を踏まえて慎重に確認する必要があります。

⑤ 買いたたき

中小受託事業者の給付の内容と同種または類似の給付に通常支払われる対価に比べ、著しく低い製造委託等代金を不当に定めることです。代金額は、取引実態、原材料費・労務費・物流費等の費用変動、協議経過を踏まえて適正に定める必要があります。

⑥ 協議を適切に行わない一方的な代金決定

中小受託事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じ、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じない、または必要な説明・情報提供をしないまま、一方的に代金額を決定することは、取適法上問題となります。

⑦ 報復措置

委託事業者の違反行為を公正取引委員会、中小企業庁長官または所管大臣に知らせたことを理由に、中小受託事業者に対して取引数量の削減、取引停止その他の不利益な取扱いをすることです。

⑧ 物の購入強制・役務の利用強制

中小受託事業者の給付内容を均質にし、または改善を図るために必要な場合その他正当な理由がある場合を除き、委託事業者が指定する物を強制して購入させ、または役務を強制して利用させることです。

⑨ 有償支給原材料等の対価の早期決済

委託事業者が有償支給する原材料等を用いて中小受託事業者が給付を行う場合、その原材料等を用いる給付に対する製造委託等代金の支払期日より早い時期に、原材料等の対価を控除したり支払わせたりすることです。


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