下請法違反を予防することの大切さ
「100年に1度の大不況」と言われる未曾有の不況の中、中小企業では売上げの伸び悩みや困難な資金繰りを始め、依然として厳しい状態が続いています。
親事業者の不当な買いたたき、下請代金の減額、下請代金の支払遅延、割引困難な手形(長期手形)の交付等の行為等が行われた場合には、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)の活用により、親事業者から未払代金の回収を図ったり、契約条件の改善を図ったりすることが可能となります。
一方、下請業者に発注する親事業者にとって、下請法違反があった場合、中小企業庁や公正取引委員会から立ち入り調査を受け、下請法違反の事実を改善するよう指導を受けるほか、下請法違反の事実を公表されるなどして社会的信用等を大きく毀損するおそれがあります。
親事業者にとっても、下請法違反を未然に防ぎ、仮に下請法違反の申告があった場合には、専門家である弁護士による適切な対応が重要となってきます。
下請法は施行されて間もない法律であるため、適切に対応できる弁護士は決して多くありません。
親事業者による不当な要求に対して悩まれている方がございましたら、お気軽に当事務所までご相談いただければと思います。
下請法によって親事業者が禁止される行為
① 受領拒否
下請事業者に責任がないのに、発注した物品・作成物の受領を拒否することです。発注の取消し・納期の延期などで納品物を受け取らない場合も受領拒否に当たります。
② 下請代金の減額
下請事業者に責任がないのに、発注時に決定した下請代金を発注後に減額することです。協賛金の徴収、原材料価格の下落など、名目や方法・金額に関わらず、あらゆる減額行為が禁止されています。
③ 下請代金の支払遅延
発注した物品等の受領日から60日以内で定められている支払期日までに、下請代金を支払わないことです。物品等の検査・検収に日数がかかる場合でも、納品後60日以内に支払わなければ支払遅延となります。
④ 不当返品
下請事業者に責任がないのに、発注した物品・作成物を受領後に返品することです。不良品などがあった場合には、受領後6か月以内に限って返品することが認められています。
⑤ 買いたたき
発注する物品・作成物・役務に通常支払われる対価に比べ著しく低い下請代金を一方的に定めることです。通常支払われる対価とは、同種又は類似したものの一般的な市価です。下請代金は下請事業者と事前に協議の上、定めることが必要です。
⑥ 報復措置
親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、その下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止など不利益な扱いをすることです。
⑦ 物の購入強制・役務の利用強制
下請事業者に発注する物品の品質を維持するなど、正当な理由がないのに親事業者が指定する物(製品、原材料、マンション等)、役務(保険、リース等)を強制して購入・利用させることです。
⑧ 有償支給原材料等の対価の早期決済
親事業者が有償支給する原材料等で、下請事業者が物品の製造等を行っている場合、その原材料等が用いられた物品の下請代金の支払日より早く、原材料等の対価を支払わせることです。
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