III.当事者の主張及び本判決の概要

本件における争点に関する原告・被告の主張及び本判決の概要を整理すると、概要以下のとおりです。

争点

原告の主張

被告の主張

本判決の概要

労働契約法20条の適用の有無

有期契約労働者である原告らと、無期契約労働者である正社員との間に賃金の相違があることから、有期か無期かという「期間の定め」の有無によって労働条件が異なるといえる

▶︎労契法20条の適用あり

嘱託社員と正社員の間の労働条件の相違は、定年後の再雇用を理由とするものであって、「期間の定めがあること」を理由とするものではない

▶︎労契法20条の適用なし

「期間の定めがあることにより」との文言は、期間の定めがあることに関連して、の意味

▶︎労契法20条の適用あり

「不合理」性の判断基準

(i)職務の内容、(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲、(iii)その他の事情を考慮

・労働契約法20条は、有期契約労働者の労働条件が、無期契約労働者の労働条件に比べて不公正に低いものであってはならないとする趣旨
・賃金体系全体として不合理性を判断すべき。
・「その他の事情」については幅広い事情を考慮すべき

・(i)職務の内容、(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲、(iii)その他の事情を考慮し、とくに(i)(ii)が重要な考慮要素
(i)及び(ii)が同一である場合、賃金について有期・無期契約労働者間で相違を設けることは、特段の事情がない限り、不合理

労働契約法20条違反の有無

・嘱託社員と正社員とで、(i)及び(ii)は全く異ならない
・本件においては、賃金の相違を正当化する(iii)その他の事情もない

▶︎労契法20条違反

・定年前と同一の条件で再雇用しなければならない法的義務なし
・他の一般的な企業より減額の割合が低い
・原告らの定年前の年収は同業他社の水準より1割程度高い
・組合との労使協定に基づき賃金水準の改善を行ってきた
・原告らは被告の提示した労働条件に同意

▶︎労契法20条に違反しない

・原告らの(i)及び(ii)は正社員と同一
定年後再雇用者の賃金を定年前から引き下げること自体の合理性は認められるものの、企業一般において広く行われているとまではいえず、差別を正当化する「特段の事情」は認められない

▶︎労契法20条違

 

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