V. 件控訴審判決の評価

本件控訴審判決は、労働契約法20条の文理解釈として妥当なものであり、また、日本における非正規雇用に関する格差是正規制の展開を踏まえつつ、社会における労働実態を反映した妥当な判決だったといえます。

もっとも、平成24年8月10日基発0810第2号「労働契約法の施行について」(以下「施行通達」といいます。)第5の6(2)オによれば、「法第20条の不合理性の判断は、有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されるものであること。」と規定している一方、本件控訴審判決は、基本的には賃金全体としてみて「不合理」か否かを判断しており、その判断の差異に、各手当等の条件を考慮しています。

そのため、一見すると、本件控訴審判決は、個々の労働条件ごとに不合理性を判断することを求める施行通達と矛盾するようにも思われます。

もっとも、施行通達も、賃金総額は同一であるにもかかわらず、形式的に各手当の金額に相違がある場合に、当該相違を一律に不合理か否か判断すべきことまで求めているとは思われず、施行通達の存在は本件控訴審判決に対する本質的な問題点とはならないものと思われます。

 

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