III. 各争点に関する本件一審判決及び本件控訴審判決の概要

本件における争点に関する本件一審判決及び本件控訴審判決の概要を整理すると、概要以下のとおりです。

争点

本件一審判決

本件控訴審判決

労働契約法20条の適用の有無

「期間の定めがあることにより」との文言は、期間の定めがあることに関連して、の意味
▷労契法20条の適用あり

同左

「不合理」性の判断基準

・(i)職務の内容、(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲、(iii)その他の事情を考慮し、とくに(i)(ii)が重要な考慮要素
・  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律9条に鑑み、(i)及び(ii)が同一である場合、賃金について有期・無期契約労働者間で相違を設けることは、特段の事情がない限り、不合理

・(i)職務の内容、(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲、(iii)その他の事情を考慮
「とくに(i)及び(ii)が重要な考慮要素」とは言及せず
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律9条に言及せず

労働契約法20条違反の有無

・原告らの(i)及び(ii)は正社員と同一
定年後再雇用者の賃金を定年前から引き下げること自体の合理性は認められるものの、企業一般において広く行われているとまではいえず、差別を正当化する「特段の事情」は認められない
▷労契法20条違反

・原告らの(i)職務の内容並びに(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲はおおむね正社員と同一
・(iii)その他の事情として以下の点を考慮
①高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置としての継続雇用である有期労働契約は広く行われている
②高年者雇用安定法による60歳超の雇用義務づけによる賃金コストの無制限な増大を回避し、定年到達者の雇用と若年層を含めた労働者全体の雇用を実現する必要
③60歳超の者に在職老齢年金、高年齢雇用継続給付
④雇用削減+退職金支給+新規の雇用契約締結
⑤運輸業又は当該規模の企業では、大多数が定年前と同じ仕事・部署、同じ労働時間で、賃金は約7割(3割減)が広く行われている
⑥基本給が最も高くなる在籍41年目以上で50歳以上の労働者と在籍1年目の賃金格差は64万余円だが、原告らとの差額はこれを大幅に上回る
⑦本業において会社が大幅な赤字
⑧定年後継続雇用における賃金減額は一般的で社会的にも容認
⑨無期契約者の能率給に対応する歩合給率を有期契約者には高く設定、無事故手当増額、無年金期間に調整給支給
⑩労組との協議・交渉後の労働条件改善
▷労働契約法20条に違反しない

 

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