II. 争点

 労働契約法20条は、「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲 その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」と規定しています。

 整理すると、労働契約法20条は、同一の使用者に雇用されている有期契約労働者と無期契約労働者について、「期間の定めがあること」によって両者の労働条件に相違がある場合、(i)職務の内容、(ii)当該職務の内容及び配置の変更の範囲 並びに(iii)その他の事情を考慮して、その相違が「不合理」なものであることを禁止した規定といえます。

 もっとも、「期間の定めがあることにより」とは、有期か無期かという「期間の定め」に関連した相違でありさえすれば足りるのか、それとも有期だから賃金が低く抑えられているといった、「期間の定め」を理由とした相違でなければならないのか、条文の文言からは判然としません。

 また、条文上、「不合理」性の判断基準について、いくつか考慮要素は掲げられていますが、具体的な判断基準は明確ではありません。

 そのため、本件においても、かかる労働契約法20条の解釈を巡って当事者間で対立する主張がなされています。

以上を踏まえ、本件における争点を整理すると、概要以下のとおりです。

①   本件相違について労働契約20条が適用されるか(「期間の定めがあることにより」の解釈)

②   労働契約法20条における「不合理」性の判断基準

③   本件相違は「不合理」なものとして労働契約法20条に違反するか

なお、本件では、労働契約法又は公序良俗違反を理由とする不法行為の成否も主張されていますが、争点③と重複し、付随的な争点にとどまりますので本ニュースレターでは省略しています。

以下、各争点に関する本件一審判決及び本件控訴審判決の概要を整理するとともに、本件控訴審判決の判旨の内容について検討していきます。

 

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