V. 残された課題

1 預貯金債権以外の可分債権の取扱い

本件最高裁判決は、あくまで①普通預金債権、②通常貯金債権、③定期貯金債権の3つについて、相続開始と同時に分割承継されるものではなく、遺産分割の対象となる旨の判例変更を下したにとどまり、それ以外の被相続人が有していた貸金返還請求権や不法行為等に基づく損害賠償請求権等についてまで遺産分割の対象とすることが判断されたものではありません。

これら預貯金債権以外の可分債権の取扱いについては、本件最高裁判決補足意見等でも判断が分かれており、今後の裁判例の集積を待つ必要があるものと思われます。

 

2 相続開始後に入金された金銭の取扱い

本件最高裁判決は、あくまで被相続人が相続開始時に有していた財産の帰属が問題となっていますが、たとえば遺産の一部に賃貸不動産があり、当該不動産に係る賃料が相続開始後に被相続人の預金口座に入金されるといった事態が生じることもあり得ます。

本件最高裁判決は、かかる相続開始後に入金された金銭の取扱いについて判示したものではありませんが、補足意見において、これら相続開始後に入金された金銭についても遺産分割の対象に含めることが相当であるといった見解が示されており、今後の展開を注視する必要があるものと思われます。

 

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